ゲーミングPCやYouTubeの動画編集など、パソコンのグラフィックス処理の需要が高まる中で、多くの方が自分のパソコンのグラフィックス性能を向上させる方法を模索しています。
eGPU(外付けGPUボックス)は、パソコン外部に接続することでパフォーマンスの向上が期待できる、拡張性と柔軟性に優れたツールです。
カスタマイズの難しいノートパソコンでも、eGPUがあれば簡単に、高性能グラボでのグラフィックス処理が可能になります。
この記事では、eGPUの基本概念から、メリット・デメリット、選び方を解説し、おすすめのeGPUをご紹介していきます。
eGPU(外付けGPUボックス)とは
出典: https://www.amazon.co.jp/eGPU(外付けGPUボックス)とは、パソコンのグラフィックス性能を向上させるための外部デバイスです。
パソコンに接続して既存の内蔵グラフィックス処理の負荷を補完、または置き換えることができます。
ノートパソコンや一部のデスクトップPCに追加して使用することができます。
通常のパソコンでは内蔵グラフィックスカードが搭載されていますが、これには性能の制約があります。しかし、eGPUを利用することで、高性能な外部グラフィックボードを追加することができます。
eGPUの仕組みは比較的シンプルです。パソコンとeGPUを接続し、専用のケーブルを使用してデータの送受信を行います。このようにして、コンピューターのグラフィックス処理を外部のグラフィックボードに肩代わりさせることができます。
eGPUの種類
eGPUには「ケースのみ」のタイプと、「グラボ搭載」のタイプの2種類があります。
「ケースのみ」のタイプはグラボを自分で選べるため、用途によってグラボを交換したりできるメリットがあります。
「グラボ搭載」のタイプは、最初からグラボが入っているため、ケース内への設置作業をする必要がなく手間がかからないというメリットがあります。
eGPUのメリット
eGPUには主に5つのメリットがあります。
・グラフィックス性能の向上
・ノートパソコンでの実質的なGPU増設が可能
・携帯性の高さ
・放熱性の実質的な向上
・拡張性と柔軟性の高さ
の5つです。
以下、詳しく解説してきます。
グラフィックス性能の向上
eGPUのメリットは、グラフィックス性能の向上が期待できることです。
例えば、高解像度のPCゲームをスムーズにプレイしたり、ビデオ編集や3Dモデリングなどのクリエイティブ作業を高速化することが可能です。
内蔵グラフィックスカードに比べて、eGPUにはより高性能なグラフィックスプロセッサが搭載されているため、より滑らかでリアルな映像やグラフィックスを実現できます。
ゲーマーにとって特に魅力的な選択肢。多くの最新のゲームは高いグラフィックス要件を持っており、内蔵グラフィックスカードだけでは十分なパフォーマンスを発揮できないことがあります。
しかし、eGPUを導入することで、ゲームのフレームレートが向上し、より滑らかなゲームプレイが可能になります。また、高解像度やVRゲームを快適に楽しむこともできます。
ノートPCに外付けできるグラボ
ノートパソコンは、コンパクトな形状のため、内部にGPUを増設することは難しいです。
できたとしても熱が内部にこもりやすいため、性能をフルに発揮できず、ノートパソコンの寿命が縮み、故障の原因にもなります。
しかし、eGPUを利用することで、ノートパソコンの実質的なGPU増設になり、高負荷なグラフィックス処理が可能になります。
携帯性の高さ
eGPUがあれば、ノートパソコンの携帯性の高さを保ったまま、高性能GPUを備えたノートパソコンが使用できます。
eGPUボックスを持ち運ぶことで、旅行先や仕事場などで高性能なグラフィックス処理を実現できます。
放熱性の実質的な向上
グラフィックボード(GPU)は高負荷の処理を行うため、高熱を発します。
そのグラボを外部に置くことで、パソコンそのものの熱対策になり、パソコンの寿命が延びることにもつながります。
拡張性と柔軟性の高さ
eGPUは拡張性と柔軟性にも優れています。
異なるグラフィックボードを選択することで、自分のニーズに合わせたカスタム環境を構築することができます。
さらに、eGPUは比較的簡単に取り外すことができるため、必要な場合には他のコンピューターに接続して利用することも可能です。
eGPUのデメリット
非常に便利なeGPUですが、デメリットもあります。
・eGPU対応のパソコンは限定的
・GPUの性能を100%は発揮できない
以下、詳しく解説していきます。
すべてのPCで使えるわけではない
eGPUを使用するには、コンピューターとの接続方法も重要な要素です。
一般的な接続インターフェースには、「Thunderbolt 3」ケーブルあるいは「Thunderbolt 4」ケーブルがあります。
Thunderboltケーブルは高速なデータ転送と電力供給を提供するため、eGPUのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
しかし、自分のコンピューターがThunderboltに対応しているかどうかを確認する必要があります。
また、GPUメーカーで対応OSが異なります。
AMD社の「Radeon」シリーズはWindowsとMacの両OSで使用できますが、NVIDIA社の「GeForce」シリーズはWindowsのOSでしか使用できません。
GPUの性能を100%は発揮できない
最初から備えているGPUよりも外付けの分、GPUが本来持つ性能を100%発揮できない可能性があるというデメリットがあります。
eGPUは本来のパソコンスペック以上の高負荷な使い方ができることが真価の1つなので、パフォーマンスの低下はある程度しょうがない部分として受け止めるしかありません。
eGPUの人気モデルと選び方
eGPUモデルを選ぶ際には、性能、互換性、信頼性などの要素を考慮する必要があります。以下では、いくつかのおすすめのeGPUモデルについて説明します。
人気モデル
Razer Core X:
Razer Core Xは、高い互換性と拡張性を備えた人気のあるeGPUモデルです。大きなグラフィックスカードを収容できる堅牢な設計であり、多くのパソコンとの互換性があります。また、信頼性と冷却効果も高く評価されています。
AORUS Gaming Box:
AORUS Gaming Boxは、コンパクトなサイズに高性能なグラフィックスカードを搭載したeGPUモデルです。特にポータブル性を重視するユーザーにおすすめです。さまざまな接続オプションを備え、Thunderbolt 3をサポートしています。
ASUS XG Station Pro:
ASUS XG Station Proは、スタイリッシュでシンプルなデザインが特徴のeGPUモデルです。堅牢なアルミニウム製の筐体と高度な冷却システムを備えており、パフォーマンスと耐久性を両立させています。さまざまなグラフィックスカードに対応しているため、柔軟な選択肢があります。
AKiTio:
AKiTioは、アタッシュケースのようなデザインなど独創性の高い筐体で人気を博しています。見た目通り携帯性に優れ、eGPUとしての機能も評価が高い。
選び方
出典: https://www.amazon.co.jp/互換性の確認:
eGPUを購入する前に、パソコンとの互換性を確認しましょう。
eGPUの接続にはThunderbolt 3やUSB-Cポートが必要ですが、全てのパソコンがこれらのポートを備えているわけではありません。
この記事で紹介するおすすめeGPUで、おおまかな概要も載せていますが、気になる方はメーカーの公式サイトでもチェックするといいですね。
電源供給と冷却:
eGPUは高性能なグラフィックボードを使用するため、十分な電力供給と効果的な冷却が必要です。
eGPUモデルを選ぶ際には、電源ケーブルや冷却システムの性能にも注目しましょう。
特にグラボ搭載型のeGPUで、高性能GPUを搭載している機種は、高負荷な処理を行う分、熱も発しやすいです。
適切な電源容量と優れた冷却システムを備えたモデルを選ぶことで、安定したパフォーマンスを実現できます。
パフォーマンスの制約:
eGPUは内蔵のグラフィックボードよりも高性能ですが、GPUの持つ100%の性能を発揮できるかはわかりません。
というより、多くの場合パフォーマンスは少し低下します。
データの転送速度やレイテンシなど、eGPUを介してグラフィックス処理が行われるためには一定の遅延が生じます。
eGPUの選択には慎重さが求められますが、人気モデルだとその心配が減ります。
絶対ではないですが、人気モデルは人気になるだけの実力があります。
選び方を把握しておくことで、最適なeGPUモデルを選び、快適なグラフィックス処理環境を楽しみましょう。
eGPU(外付けGPUボックス)のおすすめ6選
出典: https://www.amazon.co.jp/eGPU(外付けGPUボックス)のおすすめを、
・【ケースのみ】のeGPUを4選
・【GPU搭載】のeGPUを2選
の計6種類のeGPUをご紹介します。
【ケースのみ】
最安
搭載GPU | 外付け |
---|---|
入出力 | Thunderbolt 3 |
電源 | 650W |
サイズ | 374×168×230(mm) |
重量 | 6.48kg |
魅力 | とても安い |
ケースのみのeGPUの中で、最安クラスのeGPU。4万円弱。
Amazonでは重量が8kgとなっていますが、重量は約6.5kgですね。
GeForceもRadeonも搭載でき、Windows、Macの両OSで使用可能。
安く、性能・汎用性も高いので、eGPUの中でもトップクラスの人気を誇ります。
携帯性
搭載GPU | 外付け |
---|---|
入出力 | Thunderbolt 3 |
電源 | 650W |
サイズ | 357×135×266(mm) |
重量 | 3.5kg |
魅力 | 携帯性 |
横幅が135mmと平均的なeGPUよりもかなり狭く、奥行きも少なめなので、設置面積が少なくてすむのが魅力的です。持ち運びやすさも魅力。
上部カバーを取り外すのが簡単で、ツールレス(工具を使う必要がない)になっているのもいいですね。
静音性も高く、ケースのみのeGPUとしての完成度がとても高いです。
汎用性
搭載GPU | 外付け |
---|---|
入出力 | Thunderbolt 3、 USB 3.1 Type-A×4、 ギガビットイーサネット |
電源 | 700W |
サイズ | 374×168×230(mm) |
重量 | 6.91kg |
魅力 | 汎用性が高い |
汎用性・互換性が高いのが一番の魅力のeGPU。
入出力がThunderbolt 3、USB 、ギガビットイーサネットと複数備えており、汎用性が高く何かと便利。
電源も700Wと高いです。
電源
搭載GPU | 外付け |
---|---|
入出力 | Thunderbolt 3 |
電源 | 750W |
サイズ | 340×185×202(mm) |
重量 | 3.2kg |
魅力 | 電源が大容量 |
電源が驚異の750W。
ハイスペックのグラフィックボードでも安定して動作する大容量電源ユニットです。
パソコンへの充電もできる高性能eGPU。
【GPU搭載】
安い
搭載GPU | GeForce RTX 3050 |
---|---|
入出力 | Thunderbolt 3、 HDMI、 DP×3、 USB 3.2×2、 ギガビットイーサネット |
電源 | 240W |
サイズ | 215×154.3×69.9(mm) |
重量 | 3.29kg |
魅力 | とても安い |
GPU搭載型のeGPUとしては最安クラスのeGPUです。
電源が240Wと性能もGPU搭載型としては控えめですが、「GeForce RTX 3050」はゲーミングノートPCでも人気のGPU。
GPU搭載型のeGPUはこのクラスでも、平均的なノートパソコンとは一線を画すグラフィックス処理能力を発揮します。
高性能
搭載GPU | GeForce RTX 3090 |
---|---|
入出力 | Thunderbolt 3、 HDMI×2、 DP×3 USB 3.0×3、 ギガビットイーサネット、 |
電源 | 550W |
サイズ | 300×140×173(mm) |
重量 | 3.9kg |
魅力 | 高性能 |
グラボ搭載型のeGPUの中でも、トップクラスの性能を誇るeGPUです。
高負荷で発生する熱を冷却するのは、eGPUでも数少ない水冷による冷却機能。
オンラインFPSなど、PCゲームでも特に負荷の高いものでも、ヌルヌルの動作性と美麗なグラフィックス能力を実現します。
RTX 3000シリーズではハイエンドクラスの超強力なGPUにより、ゲームはもちろん、動画編集やグラフィックデザインで圧倒的なパフォーマンスを発揮します。
RTX 3090はその中でも、最高性能。
Radeon搭載eGPU
AMD社のRadeonシリーズを搭載したeGPUなら、WindowsとMacの両OSでの利用が可能なのですが、NVIDIA社のGeForceシリーズに比べると、数が極端に少ないです。
AppleのMacも、新CPUのM1チップ搭載のMac OSにはeGPUが使えないため、今後はeGPUの使用をほとんど想定していないのではと考えてしまいます。
そのため、Radeonシリーズを搭載したeGPUはおすすめに載せていません。
eGPU まとめ
出典:
https://www.amazon.co.jp/
eGPUは、パソコンのグラフィックスパフォーマンスを向上させるための強力なツールです。
本記事では、eGPUの基礎知識からメリット・デメリットの解説、おすすめeGPUについての紹介を行いました。
eGPUは、近年高まりを見せるゲーミングPCやYouTubeに投稿するための動画編集など、グラフィックス要求の高いタスクに真価を発揮します。
AI画像生成など、次世代の技術に取り組む方にとっても非常に重要な存在です。
eGPUは比較的新しい技術で、将来的には市場が成熟し、一般的に普及することが期待されます。価格競争力や利便性の向上により、多くの方がeGPUを採用する日が来るかもしれません。
これからますます進化していくeGPUの世界に注目していきたいところです。
以上で、eGPUについての記事をお届けしました。
ご愛読ありがとうございました。