クラウドコンピューティングとは? サービスやメリットについて



クラウドコンピューティングとは

クラウドコンピューティングとは

クラウドコンピューティングは、データ配信やアプリケーション実行を、あなたのパソコンに代わってインターネットのサーバーに肩代わりさせる方法のことです。

従来、文書や写真、音楽、動画などのコンテンツは、パソコン内部のハードディスク、もしくはUSBメモリーなど外部記憶装置に保存していました。
また、ソフトウェアを使うには市販のソフトを購入し、それをパソコンにインストールして使用していました。

この従来の方法では、コンテンツの保存容量がいっぱいになるたびに、また、ソフトウェアのバージョンアップのたびに設備投資の必要性が生じます。
他にも、使っているパソコンの性能が低ければ、負荷の多いソフトウェアは満足に扱えないケースも多かったのです。

このような問題を解決するためにつくられたのが、クラウドコンピューティングです。

ソフトウェアをインターネット上のサーバーに用意し、インターネット経由でユーザーが使用可能に。画像や動画などのデータ保存もサーバーに保存できるようになりました。




クラウドコンピューティングの様々なメリット

クラウドコンピューティングのメリットは、


・低いコスト

・低負荷なのでスピードも速い

・グローバルな拡張性
クラウドの視点からだと、必要な時に必要な分だけダウンロードできます。

・生産性
時間のかかるIT管理業務が不要になるため、ビジネスに集中できます。結果、生産性が向上します。

・パフォーマンス
クラウドコンピューティングは世界中のネット上で稼働しています。最新世代のハード・ソフトウェアへと定期的にアップグレードされ、常に最良のパフォーマンスの恩恵を受けることができます。


などがあります。




世界的な企業が進出しているクラウドコンピューティング市場

ネット上のサーバーを提供する企業をクラウドサービスプロバイダーと呼び、世界中のインターネット利用者を顧客にするべく日々奮闘しています。

有名なところだと、

・AmazonのAWS
・AppleのiCloud
・MicrosoftのAzure
・GoogleのGCP(Google Cloud Platform)

などがあげられます。

クラウドコンピューティングが営利目的で市場に登場したのは、ここ10年ほどの間ですが、その成長速度は凄まじいです。今後もその需要が増え続けていくのは間違いありません。

ちなみに、クラウド(Cloud)は英語で「雲」という単語の意味です。私たちユーザーにとってのインターネットも雲と同じように遠くにあり、ぼんやりとしか実態が見えない存在。説明図などでも雲の絵で表すことが多かったため、こう言われるようになりました。

以前から、クラウドコンピューティングのような考え方やサービスは存在しましたが、2006年にGoogleのCEOだったエリック・シュミットが言及したことで、クラウドというキーワードが広がったといわれています。




クラウドコンピューティングサービス3種

クラウドコンピューティングサービスには、3つの利用形態があります。
パブリッククラウド・プライベートクラウド・ハイブリッドクラウドの3つです。



パブリッククラウド

パブリッククラウド

パブリック(public)…国民一般の、大衆の、公共の…etc。

パブリッククラウドとは、起業や個人といった不特定多数のユーザーを対象にした一般向けサービスです。
クラウドプロバイダー(パブリッククラウドを提供する事業者)が所持しているクラウドコンピューティング環境を、インターネットを通じて提供しています。

クラウドプロバイダーが所持するクラウドコンピューティング環境は非常に大規模です。各社独自の仮想化技術、分散化の技術を用いてクラウド環境を構築しています。

サーバー、OSを始めとしたソフトウェア、回線に至るまで、パブリッククラウドはすべての環境をユーザー全体で共有します。

ユーザーはパブリッククラウドのサービスを利用する際、ハードウェアや通信回線などを自分では所有しないため、パソコンへの負荷はほとんどありません。

メリット

・導入スピードが速い
クレジットカードによる決済で即導入可能

・導入コストが少ない
初期費用は掛からない場合が多く、使った分だけ支払う従量制。定額プランを選べる場合もある。

・インフラの運用が楽
インフラは契約しているクラウドプロバイダーがやってくれる。

デメリット

・障害が発生したときの対処が難しい
サーバーをはじめとしたクラウドコンピューティング環境をすべて準備してくれるので、ユーザー側は障害が発生しても指をくわえて状況を見守ることしかできない。




パブリッククラウド王者は、AmazonのAWS

パブリッククラウドといえばAWSといえるほど、パブリッククラウド市場におけるAWS(Amazon Web Services)の占有率は圧倒的です。

AWSのパブリックIaaSのシェアは2~4位のマイクロソフト、グーグル、IBMの合計を上回っており、AWS全体では142億ドルという売り上げを誇っています。

昨年のパブリッククラウドの市場規模は950億ドルです。3年後にはこの倍以上、すなわち2020年には1950億ドルになるという予想もあります。

Amazonのパブリッククラウドの売り上げ・利益は今後も増大していくことが確実視されています。




プライベートクラウド

プライベートクラウド
パブリッククラウドがユーザーとクラウド環境を共有するのに対して、プライベートクラウドは1つの企業のためだけにクラウド環境を提供するサービスです。

パブリッククラウドのユーザー層は個人から大企業まで様々ですが、プライベートクラウドは大小の差はあれど、基本的には企業向けのサービスです。

サーバーとサーバーの設置場所はクラウドプロバイダーが所有するものを利用しますが、OSやソフトウェア、回線などについては、企業が自在にカスタマイズできるようになっています。

パブリッククラウドは「共有」、プライベートクラウドは「占有」というイメージです。

メリット

・高度なセキュリティ
独自のセキュリティが築ける。システムの設置が自社内のため、外部からの不正アクセスの心配が少ない。

・運用形態の自由度が高い
独自のクラウド環境を構築できるため、企業の特徴に合わせたシステムを構築できる。

デメリット

・導入スピードが遅い
システム構築を最初から行うので、時間がかかる。

・導入コスト、運用コストが高い
システム構築のための初期費用がかかる。また、インフラの運用・管理を自社で行うので、その分だけパブリッククラウドよりコストがかかる。
メンテナンス費用もオリジナルのシステムなので、コストは高くなります。



ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウド

パブリッククラウドとプライベートクラウドには、それぞれの特徴から生まれるメリット・デメリットがあり、向き不向きがあります。

キャンペーンサイトのような瞬間で大量トラフィックを処理しなければならない場合、従量課金であるパブリッククラウドのほうが向いています。一時的なトラフィック増加に合わせたインフラ投資は、費用対効果が見合わないからです。

個人情報や基幹システムデータのように厳重管理が必要な情報は、高度なセキュリティを築けるプライベートクラウドが適しています。

ハイブリッドクラウドは、扱うデータの性質やシステムの目的などによって、クラウドサービス事業者のサービスを独自に組み合わせ、最適なインフラ環境を構築しようとする考え方です。

メリット

・企業の特色に最適化されたクラウド
その企業のためだけにシステム構築・サービスの組み合わせを行っているので、企業にとっての最適なクラウドとなる。

・高セキュリティ

・運用の自由度
独自で組み合わせるので、いわずもがな。

・パブリッククラウド以上、プライベートパブリック以下のコスト
パブリッククラウドに任せる部分は、その分コストが安くなります。

デメリット

・運用が面倒
様々なサービスを組み合わせるので、運用が複雑なものになる可能性がある。





SaaS/PaaS/IaaS


クラウドコンピューティングサービスには、提供される機能の差であったり、ユーザーの使用方法によって、大きく3つの用語で使い分けられています。

それが、
IaaS(アイアース、イアース:Infrastructure as a Service)
PaaS(パース:Platform as a Service)
SaaS(サース、サーズ:Software as a Service)
です。

IaaS(アイアース、イアース:Infrastructure as a Service)

CPU、メモリ、OS、ストレージ、ネットワークといったコンピュータの基盤となるインフラを利用できるクラウドサービスです。
サーバー利用に必要なハードウェアのスペックやOSを、ユーザーが自由に選んで利用することが可能です。

代表的なサービスとしては

・Google Compute Engine 
・Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) 

が挙げられます。

PaaS(パース:Platform as a Service)

IaaSにミドルウェア(Middle ware)を追加したサービス形態。

ミドルウェアは、OS(コンピューターを動かすためのシステム)とアプリケーションソフトウェアの中間に入るソフトウェアのことです。

仮想化されたアプリケーションサーバー、データベースなどアプリケーション実行用のプラットフォーム機能の提供を行うサービス。
アプリケーションの開発や、管理のための環境を自由に使うことができます。
ユーザーは多様なWEBアプリ、モバイルアプリを効率的に作成できるようになります。

代表的なサービスとして

・Google App Engine
・Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)

などが挙げられるでしょう。

SaaS(サース、サーズ:Software as a Service)

IaaSにミドルウェア、アプリケーションを追加したサービス形態。
PaaSにアプリケーションを追加したサービス形態。

アプリケーション(application):応用・適用

ここでいうアプリケーションはアプリケーションプログラムを略したものです。アプリケーションプログラムとは、使用者の業務に応じて作成したプログラムのことです。

電子メール、グループウェア、財務会計、顧客管理などのソフトウェア機能の提供を行うサービス。サーバー機能(CPUやメモリ、ディスク・ストレージなど)をユーザーが自由に選んで利用できる形態のことを指します。利用した度合いに応じて利用料金が請求される従量課金制になっており、以前はASP(Application Service Provider)などと呼ばれていました。

インターネット上にデータを保存でき、パソコンやスマホなど端末を選びません。インターネット環境が整っているところなら、どこからでもアクセスして利用できます。

代表的なサービスとしては

Google Apps
Office Web Apps
Dropbox

などがあります。




まとめ

クラウドサービス市場規模は飛躍的に増大しています。

ネットさえあれば滞りなく行えるクラウドコンピューティングは、仕事を始めとした様々な人の営みも様変わりさせていくのでしょうね。



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